渋谷のある場所で殺傷事件が発生した。
渋谷でふらつく不良たち同士のいざこざが暴力事件にまで発展したらしい
その事件に
たまたま通りかかった中学生が巻き込まれた
中学生は軽傷だが、現在も病院で入院している。
カナシミヨサヨナラ
「良かった……本当に良かったよぉ」
「泣くなよ、シキ」
「泣くなって言ったってなぁ。まさかお前が巻き込まれて入院してるなんつー話聞いたら心配に決まってんだろっ!!」
「ビイト、病室だから静かにしないと(汗)……でも、本当に、無事で良かったよ!!」
病室のある個室に賑やかに響くいくつもの声。
個室のプレートには「桜庭音操」と書かれていた。
腕や頭に包帯が巻かれているものの、本人がいうように大した傷ではなく、検査入院という形で入院していた。
ネクが巻き込まれたということは公にはされていないが、どうやって調べたのかシキ、ビイト、ライムの3人が見舞いに来ていた。
「それにしても、お前、何であんな時間帯にあんなとこにいたんだ?」
「えっ……」
ネクが不良の喧嘩に巻き込まれたのは深夜。
いくら渋谷在住にしても、深夜の渋谷を一人で歩く事等しないはずだ。
「あっ……ああ、ちょっと買い物しに。家族がちょうどいなくてさ。遠出してたら巻き込まれたんだ」
「もう……危険な事しないでよっ!!ネクっ!!」
シキがにゃんタンを振り回して怒る。
「ああ、そうだな。気をつけるよ」
それから4人で喋って
一緒に菓子を食べ
時間になり3人は帰っていった。
「ネク、もうこんな事にはならないでね?」
シキが部屋を出る際にまるで確認をするかのように訪ねる。
その表情は暗い。
「お前こそ、コケるなよ」
笑顔でネクはシキを送る。
シキは少し安心したのか、部屋の扉を閉めて帰っていく。
足音が聞こえなくなり
ネクは笑顔を消した。
「こんにちは、桜庭君。担当の桐生です」
「……こんにちは」
窓の外を見ていた時に部屋に医者が入ってきた。
医者の方に顔を向けず、窓を見続ける。
「……同じ苗字なんですね」
「んっ?誰と?」
「知り合い。友達って……言えばいいのかな」
あいつと同じ苗字。
でもあいつじゃない。ヨシュアじゃ、ない。
「さっきお友達が来てたよね?」
「はい」
「君っていい友達を持ってるんだね」
「……」
話掛け続ける医者。
顔はまだ、窓に向いてる。
「桜庭君」
「……何ですか」
最初は黙り込もうかと思っていたけど、それはそれで面倒くさいことになりそうで、素直に答えた。
「警察の人がね、もしかしたら君は自ら巻き込まれにいったんじゃないかって疑ってるんだよ」
「……そう、ですか」
「単刀直入に聞くけど、君ってその……願望があるのかなぁ」
「……何のですか」
「死ぬ、願望だよ」
医者の言葉に俺は反応する。
それでも、俺は窓を見続けた。
「どうして……そういう風に思うんですか」
「勘……かな。そんな気がしたんだよ」
よくよく聞くと、その医者の声はまだ若い。
きっとまだ医者になりたてなのか、他の何かなのか。
「―――――会いたい奴がいるんです」
「えっ?」
どうしてだろう、
何故この医者にこんなことを話そうとしてるんだろう。
「俺、本当は一度死んでるんです」
「うん」
「死神のゲームって言って、それに勝ったから生き返れたんです」
「うん」
「その死神のゲームで会った奴なんです」
細かくは話さなかった。
ただ、理解できるようには話した。
医者はうんうんと言ってうなずいて只聞いている。
「――――もう一度、会いたいんです」
それだけ言って、俺は黙った。
どうせこんな話、信じてくれるはずがない。
とっとと部屋から出て行け。
でも、その医者は出て行くどころか、驚く事を言い始めた。
「駄目だよ、桜庭君。自ら死にに行く行為は死神のゲームの参加条件には当てはまらないよ」
どうして
どうしてこいつはそんなことを知っているんだ。
俺、そこまで喋ったか……?
「いつまで僕の顔を見ない気だい?―――――――ネク君」
俺は初めて医者の顔を見た。
いや、医者じゃない。
そこにいたのは―――――
「……ヨシュア?」
「ふふっ。また変な顔、してるよ」
でも俺の知ってるヨシュアではなかった。
正確には、俺の知ってるヨシュアよりも大きい、大人のヨシュア。
「何でお前ここに……それにその姿……」
「ああ、コレ?これが僕の本当の姿。RGに行くと低調同位で体が幼児化してしまうんだ」
「じゃあ、何でその姿でここに……?ここはUGなのか……?」
「RGだよ。羽狛さんには内緒で来たんだよ」
相変わらず肝心な部分はごまかすヨシュア。
でも、俺は、ヨシュアに会えたんだ。
「ヨシュアっ!!」
俺はヨシュアに抱きついた。
確かにヨシュアは、ここにいる。
俺は、本当にヨシュアに触れてるんだ。
「僕も、会いたかったよ。ネク君」
「ヨシュア……」
ヨシュアも俺を強く抱きしめる。
といっても、まるで子供を抱き寄せる親みたいになってるけど。
「ネク君。僕に会いたくてあんな事したの?」
「……」
「ネク君」
ヨシュアは俺の顔、俺の目を真剣に見つめる。
「この渋谷は、ネク君がいるから存在してるんだ。ネク君がいるから僕はこの渋谷のコンポーザーを続けられる」
「……」
「例えネク君からは見えなくても、僕はいつも君を見ている。ネク君が元気でいる事が、僕にとっては也よりも幸せなことなんだ」
「……」
「だから、ネク君――――――
もう死にたいなんて、思わないで」
ヨシュアの言葉。
俺は、ヨシュアの本心からの言葉を、初めて聞いた気がした。
その言葉が
俺の心にどんなに焼き付けられたか
「ヨシュア……」
俺はヨシュアの胸で泣いた。
あの時、ヨシュアとのゲームで泣いたのとは違う、別の感情の涙。
ヨシュアはそんな俺をただ優しく胸をかしてくれた。
「退院おめでとう、ネク!」
事件から1週間で俺は退院できた。
元々大した怪我でもなかったけど、調査も兼ねての入院だったからだ。
荷物をまとめる作業をシキ、ビイト、ライムが来てくれて手伝ってくれた。
怪我人だから無理するなと、ビイトが荷物を持ってくれた。
「心配かけたな。ごめん」
「今度からは気をつけろよな」
皆が俺のことを心配してくれる。
シキ
ビイト
ライム
それに――――ヨシュア。
ごめん、ヨシュア。
お前のいないこの渋谷が、つまらない世界だと思ってた。
でも、俺わかったよ。
今の
俺が今存在するこの渋谷自体がお前なんだよな。
そう思うようにするよ。
だって
お前はいつも俺のことを見ていてくれるんだろ?
「ネクっ!!追いてっちゃうよ!」
「あっ、悪い」
いつの間にかシキたちと離れてしまったみたいだ。
俺はみんなのところへ走った。
こっちに来るトラックに気づかずに
世界が紅く染まった
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あとがき
く ら い っ !!
どんだけこの話のネク君は鬱なんですかって話ですね(汗)
解説。
ヨシュアに会いたくて「もしかしたらまた死んだら会えるかも」って思って鬱になったと。
元からこの話、バッドエンドのつもりで書いてました。
次は明るいのが書きたい。
空兄は今のところ入院経験が一度あります。検査入院で1週間。
見舞い客が来た時以外はほとんど寝てました(爆)