いつも視界の隅に入る君

振り向くとすぐに隠れるか、さも今来たように装う君

あれ?

この気持ちって何なんだろう

 

 

 

 

 

 

 

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「……」

 

背後から感じる気配
もう何日もこの気配を感じている。
これって立派なストーカーだよね?

気配の犯人は、新しく幹部に入った男、南師猩君。
開口一番「コンポーザーになる」と宣言した前代未聞の新人幹部。

ま、僕的にはおもしろいからそれでもいいんだけど、
だからといってこうやって後ろからずっと後をつけられるのは、正直うんざり。

そうだ、 ちょっと仕返ししてやろうかな。
暇だし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ……ドコ行きやがった」

 

会議が終わり、今日もコンポーザーの後をつけていたら姿を見失った。
コンポーザーになるにはコンポーザーを倒さなければならない。
だから、奴がいつ隙をみせるか、ここ数日張り付いていた。

俺の尾行に奴はまだ気付いてない。
それなのに、何故かいつも最後まで尾行できずに見失う。

だから、今日こそは奴を見失わないようにと注意していたのに…。

 

 

「ねぇ、そこのお兄さん。何してるの?」

「っ!!!」

 

正面に意識を集中していた為に、背後からの突然の呼びかけに驚いた。
間合いをとって、俺の背後にいたやつの顔を見る。

どことなく、コンポーザーに似ているガキがいた。

 

「お兄さん。もしかして、誰かを探してたの?」

「てめぇに話す義理はねぇ。失せろ」

「ねぇねぇ、お兄さんは何してるの?」

そいつを無視してコンポーザーを探そう。
そう思い、何を言ってきても無視して歩こうとするのだが、

 

「ねぇねぇ、人の話、聞いてる?質問してるのに答えないって嫌な大人だよね?」

 

いつの間にか俺の正面に立っていた。

うざい。うざい。うざい。うざい。
ゼタうぜぇ!!!!

こんなことを続けていたらコンポーザーから離されてしまう。

 

 

 

早歩きした。

「ねぇねぇ、子供置いてくなんて結構ひどいよね」

そいつは後ろから追いかけてきた。

 

走って角を曲がった。

「ねぇねぇ、もしかしてこれって鬼ごっこ?」

曲がった角の先にそいつがいた。

 

羽を出して建物の上へ移った。

「ねぇねぇ、何でもアリなの? それだったら僕も楽しめそうだな」

建物の上に、すでにそいつがいて座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?もう逃げるのは止めたの?案外体力無いんだね」

そいつがあざ笑うように俺に話しかけてくる。
その横でぜぇぜぇと息切れをしている俺。
あれから渋谷中を走り、飛び回ってこいつを撒こうとしたがどれも失敗した。
何故かこいつは先回りして俺を待ち構えている。
挙句の果てが今、ここ。
104の上。
こいつ…ただの人間じゃねぇ!!

「お前……何者だ……」

「…普通ここまで来たらさ、何となくわかるものじゃない?」

 

ぐいっ
突然腕を掴まれて仰向けに倒された。
地面に頭を打って軽い脳震盪になったが、倒した奴の顔をみてすぐに身構えた。

コンポーザーが俺を押し倒していた。

 

「いつの間にっ…!!」

「…もしかして……まだ気付いてない? さっきまで一緒に遊んでたのに」

「っ!? まさか、さっきのガキ…!?」

 

コンポーザーは俺たち死神とは違う。
それはわかりきっている事だった。
だが、こんな事は計算外だ。

 

「…っ!! 離せっ!! ヘクトパスカルがっ!!」

「嫌だよ。ここでちゃんと注意しておかないと、またストーキングされても困るし」

「…気付いてたのか」

「あれで気付かない訳がないと思うけど…」

 

俺の完璧な追跡に気付いてただと!!
やっぱり、こいつは油断ならねぇ!!

 

「…ねぇ、南師君はこうやって押し倒された事ってある?」

「…?」

「ある訳ない…か。 今までの事と鬼ごっこの罰ゲーム、受けてもらうよ?」

 

何をされるかわからない恐怖心。
コンポーザーから離れようともがくが、両腕をつかまれ上に乗られた状態では、逃げれる訳がなかった。

まさか、消す気か!?
そんな考えが頭をよぎった。
あのメグミちゃんが胃痛を抱えるほどやっかいな相手。
そうしてきてもおかしくはない。

何が来るのか
何をされるのか
あらゆる場合を予測した

でも
こいつにはどんな計算も通じないことを
俺はわかっていたはずだ
そんなことをしても無駄だと。

 

案の定、俺の予想を外れる行動をしやがった
確かに、これは罰ゲーム。

 

コンポーザーが俺の口を塞いだ。
自分の口で
つまりはキスされたと言う事で

 

 

 

人生初めてのキスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり、僕の予想通り。
こういう煩い子供は、こうしてやれば大人しくなると思ったんだ。
だって、本当は知らないのに知った被っているというか、
まだ子供なのに大人ぶってる感満載。

一端南師君から離れても、もう南師君は逃げる事を止めたみたいで、
というか、この展開に完全に固まっちゃったようだ。

もう一回、もう二回と、唇が触れるだけの軽いキス。
そして、最後に舌を使った深いキス。
さすがに南師君もこれにはぴくっと反応を返したけど、その反応がおもしろく、余計深く繋がる。
舌が南師君を捕らえて離さない。
でも、さすがに長いと感じて離れたら、案の定南師君は呼吸困難手前。

顔を真っ赤にして
呼吸ができなかったことで、生理的に発生した涙が頬を伝う。

 

あれ?
何だろう、この気持ち

 

 

自分で自分の気持ちに疑問を抱く前に、僕は南師君の涙を舐めとっていた。
そのまま下へ、首のほうまで舌を這わせ、
彼の首を強く吸って、印をつけた。

 

 

この気持ち…

 

 

「な……何、しやがった…」

「南師君が僕のだっていう印」

 

 

恋なんていう甘いものではない。
そう
僕は彼を
独占して、支配したいと思っている。

 

今までいなかったタイプ
飾り無しで僕に食って掛かる男
そして…
こんな事して固まっちゃう可愛い子

 

 

「みな……いや、猩君」

僕が名前で呼ぶと、とても嫌そうな顔をする君
でも本当は怖くて堪らないんだよね
僕がコンポーザーだから
未知の存在に不安を覚えてるんだよね

 

その顔を見ていると
ぞくぞくしてきた

 

「君は僕のモノだから」

 

 

とっておきの―――――玩具発見

 

 

 

 

 

鬼に捕まったら、もう逃げられない

 

 

tag:鬼ごっこ

 

 

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あとがき

南師、アホの子(笑)
コンポーザーの設定を完全無視してます(汗)

南師がストーキング(笑)してくるので、仕返しに自分も同じようなことをやってやろうという話です。

個人的に、15歳ヨシュアの話し方を現在放送中の某仮面ライダー牙にでてくるとあるキャラを意識して書いてみたり。

 

 

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