「好きだ」
「……嫌い」
「大好きだ」
「……嫌い」
「ゼタ好きだ」
「……嫌い」
pike and shield
南師から「好きだ」と言われた。
俺を殺した張本人のくせに
ミッション中は何度も消しにくるのに
何でそんな悲しそうな顔、すんだよ
「あんた何か………嫌いだ………」
「嫌い」と言ってる自分が一番
痛い。
「ネク君はさ、死んだ理由がわかったらどうする?」
唐突に、ヨシュアにそんな事を聞かれたような気がする。
その時は、まだヨシュアを疑ってる時だったから「知らない」ってすぐに答えた。
「ふぅん、そう。……じゃあ、もしネク君が誰かのせいで死んじゃっていたらどうする?」
「えっ……」
今思えば、何でこいつはこんなに色々聞いてきたのだろう。
今となってはわからない。
ヨシュアは、俺をかばって
消えた
消したのは
あいつ
南師。
***
計算できない
解が出ない
それ位気になった。
何で気になるのか考えてたら
好きだという事に気づいた。
あの時、あの場所で偶然出会ったあいつの顔が、離れられなかった。
脳裏に焼きついてた。
コンポーザーを殺ることに失敗して戻って
まさか会えるとは思わなかった。
しかも、コンポーザーと一緒にだ。
コンポーザーが目を離した隙に俺はお前に会いに行った。
愛を囁いた。
お前を抱きしめた。
お前の温もりが感じられるだけで
お前の姿を見るだけで
それだけで十分でもあった。
それでも、コンポーザーへの策は止めない。
暫く準備に取り掛かっていたらいつの間にか7日目を迎えていた。
久しぶりに会えた。
ゲームマスターとしての責務も忘れ、嬉しかった。
そんな俺にお前―――――ネクが憎しみを込めて言った
「お前が……俺を殺したのかっ!!」
ネクの言葉に目の前が暗闇に変わる。
その寸前、コンポーザーの笑みが見えたような気がした。
憎しみの矛先は、コンポーザーに向けた。
お前の世界
絶対に壊してやる
***
「おい、大丈夫か?ネク」
「あっ……ああ」
3回目のゲームが始まり、俺はビイトと組んでいる。
俺の為に死神を止めてくれたビイトに、落ち込んでいる暇がないことを思い出させてくれた。
それでも、あの悲しみは、すぐには消えない。
ヨシュアの事も
南師の事も
「さっ、休みは終わりだ終わり。早く鉄仮面を探すぞっ!!」
「……そうだな、シキとライムを取り戻すために」
「ヨシュアって奴も生き返らせる為に……な」
「ああ。行こう、ビイト」
忘れろ。
忘れてしまえ。
あいつの事なんか。
憎んで当然の奴なのに
何でこんなに胸が痛むんだ。
無意識に 涙が出た。
涙が出たことも気づかなかった。
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あとがき
pike and shield.
↓
矛と盾
↓
矛盾……ってことです。タイトルは(汗)
このタイトルが話の全てです。はい。
嫌いなのに好き
好きなのに嫌いにさせる。
そんな矛盾。
書いてる私自身が矛盾だらけでよくわからないことになった。
南音はそんな暗い感じが好きです。
でも、これだとどう考えても本当は両思いなのにヨシュアが完全に邪魔してる図になっている…(汗)
でも、そんなもんだよね☆
ヨシュア7日目とビイト編に入ってからの話です。
まだ禁断化で復活する前です。