※義務教育修了者以上対象となります。
※該当されない方は閲覧しないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何で俺は、こんな奴の事を好きになっちまんたんだ。
どう考えても最低の奴なのに、

その声に、

俺の名前を呼ばれるだけでゾクゾクする。

こんな気持ち、誰にも知られる訳にはいかねぇ。
特に、アイツには。

それなのに――――――――――

 

 

 

「南師サン、チョット今、いいデスカ?」

オブジェを製作中の最中、奴が来た。
相変わらず飄々として、内情を全く読めない。
普段はピンク頭の奴と一緒にいるコイツが、一人でいるのは珍しい。
そもそも今はゲーム中でも無いし、逆にコイツがここにいる方が不自然極まりない。

コイツ――――狩谷はいつものようにアメ玉を口に加え、嘘かホントか分からない笑みで俺に近づく。

「んだよてめぇ、邪魔すんなら消すぞ!!」
「まぁまあ、あんまり物騒なこと言わないで下サイヨ、南師サン」

…トクン
何気ない会話のはずなのに、俺の体は必要以上に狩谷の口から俺の名が呼ばれることに反応する。
大丈夫。
狩谷にはバレていない。
そんな俺の状態なんかお構いなしに、しつこく狩谷は俺に「用があるからお願いですから降りてきて下サイ」と何度も懇願する。
これ以上狩谷がこの場で俺の名前を呼び続けていたら、さすがの俺も我慢出来なくなりそうだ。

「…っち。わかったからそこどけ。てめぇが邪魔で降りれねぇだろ」
「あ…ああ、スミマセンデシタ」

まだそんなに高く構築前のオブジェから降り、狩谷の後を着いていく。
別に此処はUGで、しかもゲームが開催している訳ではない。
死神だって、狩谷みたいに無駄にフラフラうろつく奴を除けば、何かようがあればさっきの場所で事足りる。
何の用があって呼び出したのか。
人気のない、人二人がなんとか横に並んで歩ける程度の狭い路地裏に呼び出されても、奴の真意は全く読めなかった。

――その時点で、狩谷からムリヤリにでも用件を聞き出してとっとと帰れば良かったんだ―――

 

 

「ちっ…こんな面倒臭いところに呼びやがって。おい、俺に何の用だ。下らねぇことだったら殴るぞ」
「すぐ終わりマスヨ。確認したいだけですカラ」
「確認?」
「ハイ、南師サンが――――――――――――俺のことを好きって噂があるんですけど、本当デスカ?」

ビクっ
いきなり何だ
何でそんな事…狩谷が知ってるんだよ。

「はっ!?ゼタ意味不明!!それ以上変な事聞くなら俺は帰る!!」

これ以上平静でいられるかわからなかった。
逃げるように、狩谷の顔も見ずに路地裏から出ようとして――――

「まぁまぁ……ちょっと付き合って下サイヨ」

腕を掴まれて壁に押さえつけられた。
狩谷に背後を取られ、壁に押さえつけられた体は拘束から何とか出ようともがくが、結果的には何の解決にも結びつかなかった。

「は…放せっ!!何考えてやがるっ!!」
「そんな事言わずに、チョット楽しみましょうヨ。俺、正直ドッチでもイケル性ナンデ」

何がドッチでもいいのか
何が楽しみましょうか
何言ってやがるんだと、冷静に考えられた時間はごく僅か。
すぐさま、次の衝撃で頭が真っ白に書き換えられる。

狩谷が俺を壁に押し付けるように自身の体を俺に押し付けていく。
苦しさと、丁度耳に狩谷の吐息がかかり、全身が狩谷の動き一つ一つに過剰反応を見せる。

「一回シてみたかったんですヨネー南師サンと♪そういう意味では両想い?的ナ?」
「あっ…う」

片手で起用にボタンを外され、肌が露になる。
つーと狩谷の指が腹から胸へとゆっくり、ゆっくりと俺の反応を楽しみながら上っていく。
それだけじゃない。

「ホラ、どんどん上に上がってマスヨ?感じますカ?南師サン?」
「…っ!!」

耳元に囁かれる狩谷の声だけでも、俺の思考を麻痺させるには十分な素材になった。
脳を麻痺させ、
ただ耳だけが狩谷の声をキャッチしようと機能し、
以下全ての俺の体は完全に狩谷の手に落ちていた。
それでも、
せめて意志だけは守りたかった…。

「ばっ…止めろって……言ってん……だろ……っ!!」
「その割にはスゴイじゃないデスカ。ほら、俺が触っただけでこんなにナッテマスヨ?」
「だから……実況中継すんじゃ……―――――ひやぁぁあっ!?」

あまりにも突然に、予想外の攻撃に声を抑えられなかった。
はむっと狩谷が俺の耳を甘噛みし、思い出したかのように舌を入れてくる。

「ひっ…!!」
「ソロソロ声、抑えられなくなってマスヨ?やっぱりキモチイイんでしょ?」

 

 

コイツは気付いている。
俺が、
狩谷の声を聞いているだけで次第に欲情していることに。

 

 

「――――猩?どうなんだ?はっきり言ってくれないと俺、猩の気持ちイイ所がワカラナイヨ?」

 

「あぁ……、んっ」
声が――――

 

「猩の良い所がココカナ?それともココ?ほら、早く言わないと自分で見つけちゃうよ?」

 

「っ!?そこ―――っ、さわんっ、!!」
狩谷の声が――――。

 

「あ、ココすごいヒクヒクしてる。やっぱり我慢してたんジャナイカ」
「っん、やめ、止めろぉっ!!、や、ぁぁああ!!」

 

意志をそぎ取っていく。

 

 

「それとも――――――欲情しちゃったのカナ?、俺の"声"ニ」

 

言葉にして言われて、

 

 

「いつも俺がお前の名前を呼ぶとき、一人で思い出しながらヌいたりした?」
「俺がお前に囁く時、どんなことを想像した?」
「駄目だなぁー猩は。はっきり言えない悪い子には、オシオキしないとネェ」

 

 

 

俺の中の何かが音を出して崩れていった。

 

 

 

「…ぁ、かり…やぁ」
「ん?ドウシタ?猩」

 

 

首をムリヤリ後ろに向かされてようやく、狩谷の顔をみた。
笑顔だった。
普段の笑顔とはまるっきり正反対の、
全く別のベクトルに向けられた笑顔。

 

「……よん、で。もっと……お前の声……」
「イイヨ。好きなだけ呼んでアゲルヨ?だから……猩」

気がつけば涙が出ていた。
俺の心中を暴かれたことによる悔し涙なのか、
体が勝手に快楽を感じて流したものなのか。
どういう理由で流されたのかも、もう分からない涙が伝う頬を、狩谷は舐め上げた。
まるで、いつも舐めているアメ玉のように。

刹那、下半身から激痛が走る。
息もできない衝撃に、思考は完全に真っ白になった。

 

「っんん!!…ぁあ、かり、痛っ、狩谷ぁ!!」
「ホラ、もっと咥えろヨ。出来るダロ?猩は俺が好きなんだもんナァ」

狩谷の声に、従順になっていく事への快楽で、今の俺は埋め尽くされた。

「っああ、はっ、ぁ……好き…狩谷、しゅ…きぃ……かり、ひぁぁぁあああ!!」

激しく突かれ、視界にスパークが走る。
壊れた蓄音機のように、同じ言葉を不確立な声で何度も何度も。

 

「オレモ、ダイスキダヨ?」

 

ただ狩谷の声を聞ければいい

 

「ダカラサ」

 

狩谷の声で、俺の全てを震い、快楽という逃れられない罠へと足を進める。
例えソレが

 

「モット、タノシマセテヨ」

 

 

 

こんな最低な奴に飼い馴らされることになったとしても。

 

――――――――――
あとがき

黒狩谷ブームでした。
完全に遊び人ですね、コレ。
南師の気持ちを知っていて遊んでますね、酷いですね、そんな話を書いたのは私です/(^o^)\

 

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