最近見る夢。
No face man
それは決って現れる。
顔の無い男。
どこかで見たことのある服を着て、死神の羽を持つ男。
それは決って現れる。
夜。
俺と、狩谷の二人でいるとき。
目も口も鼻も無いのに
俺をあざ笑うように見えるのは
夢だからか――――
「んっ…」
「あ、起キタ? 結構長い時間眠ってマシタヨ?」
「今…何時だ…」
「ウーン…。まだ仕事までには余裕がありマス」
「……」
ぼんやりとした頭でもう一度思い出す。
顔の無い男
でも、どこかで見たことのある男。
―――もう思い出せなかった。
「……何だ」
「もう一回、シません?」
「この後…仕事だろ」
「寝起きの南師さんがエロいのがいけないんデスヨ」
最近思う。
どうして俺はこいつとの行為に没頭するようになったのだろうか。
好意?
最初はそう感じた
でも今は
麻薬にも似た、依存に感じる。
「ばっ……離せっ」
「南師さんだって、また気持ち良くなりたいデショ?」
「だから今はっ……、んっ、止め……!!」
「二人で気持ち良くなれば、それでいいじゃないデスカ」
俺の事なんか構い無しに狩谷は俺の体を無理やり起こした。
こいつは、自分が気持ちよくなりたいから俺のことは考えない
それが結果的に、俺自身も気持ちよくなるから、今までなにも言わなかった。
その繰り返し
「止め…ろっ!! 狩……っ!!」
「嫌がるフリしたって、本当はシたくて堪らないんデショ?」
「嫌…だ、ぁっ…、うっ、ああ―――――――」
夢をみた
顔の無い男が俺をあざ笑う夢
顔が無いのに笑うって、変だけど見えるから仕方が無い
黒い服を着て
死神の羽を持った
オレンジの髪の死神――――――。
何故顔の無い男は
俺を、あざ笑うのだろうか――――。
のっぺらぼうのように目鼻のない人物は、不毛な人間関係、愛情のない肉体関係を表す。
警告的なニュアンスの強いシンボル。
----------
あとがき
バーゲンで買った夢占いの本をぼけっと読んでるときに見つけた項目。
狩南と見せかけて実はそうじゃないのか、ただの気のせいなのかは謎のまま。