present...?

 

 

 

 

 

 

「今日は一日好きにしてイイヨ」

「……はっ?」

 

朝顔を合わせて早々、狩谷の謎発言に一瞬時が止まった。
普段からロクデナシなことばっかり言ってるこいつが何か言うときは、必ず何か裏がある。
ていうかその前に、こいつが言った言葉の意味がゼタわかんねぇ。

 

「……何を好きにすんだよ」

「猩チャンが俺の事を好きにしてイイって事♪」

 

とうとう頭のネジでも抜けたか。
ベクトルがどうとかって言ってるどころじゃねぇぞこれ。

 

「じゃあ殴らせろ。今すぐ殴らせろ。そのふざけた口ごと今すぐ空間座標から消してやる」

「ちょ……っ!!バイオレンス方面はできる事ならご遠慮願いタイデス…(汗)」

「好きにしていいっていったのはてめぇだろ」

「いやぁ……俺としてはサ…普段恥ずかしがって甘えられないだろう猩チャンがここぞとばかりにハグして来るカナァ…トカ」

 

妄想癖でもあるんじゃねぇのかこいつは。
オイ、俺の目の前で変な妄想してんじゃねぇ、ヘクトパスカルが!!

 

「ていうかっ!!いきなり何だ、てめぇは!!」

「エっ?今日誕生日だって聞いたんだケド…」

「……はぁっ!?」

 

ちょっと待て
何かこいつはとんでもない勘違いをしてねぇか…?

 

「とっくに終わってんぞ」

「…嘘」

「嘘ついてどーすんだよ、このラジアン」

 

狩谷が黙ってしまった。
というか…今までの発言は全部俺の為に言ってたのか(内容は腹立つが)
ふとそう思ったら、一応俺の為に何かしようとしてくれた狩谷が落ち込んでる姿に、ほんの少し憐みを覚えた。

 

「……ありがとな」

 

聞こえるか聞こえないかの小さな声でボソリと呟いた。
変に狩谷に気をつかわした分は、一応感謝しとく。

と、図ったかのように狩谷がいきなり俺に抱きついてきた。

 

「なっ…!!離せっ!!」

「慰めてクレル?」

「はぁっ!?」

「今ネ、俺、大好きな猩チャンの誕生日を間違えて傷ついてルノ。慰めテ?」

 

ものすごくイイ笑顔で俺に笑いかける狩谷に、一瞬流されかけた自分が不甲斐無い。
必死に引き剥がそうともがいても、狩谷がガッチリホールドして離さなかった。

 

「慰めって……てめぇが勝手に間違えただけだろ!!」

「ダカラすっごい傷ついてるノ……だから、今から猩の事満足させてあげるカラネ」

「……え。ちょ…」

 

さっきまでの笑顔はドス黒く塗りつぶされた。
俺の顎を持ち、近距離で俺の目をじっと見てくる。
そらそうとしても離さない。
と、動きを完全に封じられていた体を狩谷は持ち上げ、突然飛び始めた。

 

「ちょ…っ!!これから仕事だろっ!!」

「えっ?今日から3日間は休みデスヨ?俺が申請してオキマシタ」

「なっ!?」

「誕生日を"3日"も過ぎちゃったカラ、今日から3日間それを取り戻さないとネ♪」

「…っ!!お前…っ!!」

 

嵌められたっ!!!!
ちょっとでもこいつに情けをかけたのが間違いだったっ!!!

 

「満足させてあげるカラネ♪猩チャン♪」

「はっ……離せええええええぇぇええぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇっ!!!!!!」

 

 

 

 

 

終わってしまえ。

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あとがき

夜ずっと「\(`д´)ゝデュエッ!」って言ってた本日誕生日だった空兄です。(オイ)

 

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