Late Halloween

 

 

 

 

 

 

 

 

「trick or treat♪」

 

背後から突然にかけられた言葉は、もうすでに終わってしまった年間行事の決まり文句だった。
その言葉を言い放った張本人――――狩谷はしごく満足そうな顔をして自分のアメを俺にマイクのように向けていた。

 

「……はぁ?」

「ダ・カ・ラ……trick or trea「もういい黙れヘクトパスカル」」

 

俺が止めなければ延々と同じことの繰り返しなような気がして、今だ言おうとしてきた狩谷の言葉を先に潰した。
俺の先制攻撃に、狩谷は少しつまらなそうな顔をしているが、知ったことか。

 

「一つ聞くぞ?」

「何?猩チャン」

「今日は何日だ」

「11月7日ダケド?」

「ハロウィンは何時だ」

「10月末ダカラ……10月31日ダネ」

「今日はその日から何日経過してる」

「ちょうど1週間ダネ」

 

それがどうしたとでも言いたげな顔をする狩谷。
あーそのアホ面を殴りてぇ…

 

「何かが根本的に間違っていることに気付いてねぇのか?てめぇは」

「ウン?わかってるよ?ハロウィン1週間も過ぎてるのに何で"trick or treat"なのかって事デショ?」

 

言いながらごそごそとズボンのポケットをあさり始める狩谷。
何なんだ何なんだおい、
てか、段々壁に追い詰められてるぞ、俺。

 

「"お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ"って意味デショ?いっつもお菓子持ってる俺だったらさ、毎日ハロウィンやってもいいと思わナイ?
――――猩チャン限定でネ♪」

「意味わかんねぇよ、ラジアンが」

「だからさ。こういう事」

「んぐっ!?」

 

突然口に広がる甘味
舌で確認すると、丸い何かが口の中に入っていた。

 

 

「俺に会いたくなったらさ、"trick or treat"ってこじ付けで来てくれてもいいんダヨ?」

「んんっ!?//////」

「あっ、ちなみに今猩チャンの口の中に入ってるのは俺との間接キスってコトデ♪」

「っ!?/////」

 

言うだけ言った狩谷は満足げに
俺のことなどお構いなしに抱きつき、どこかへ飛んでいった。

 

 

 

口の中に残されたアメを暫く舐めていたが、ガリッと噛み砕いた。

 

お前に会う口実なんて

 

お前の顔を殴りに行きたくなったらでいいじゃねぇか

 

 

 

 

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あとがきという名の懺悔

ハロウィンは10月31日です。

最初はハロウィン企画で特に何もやる気は無かったです。(立て込んだ+風邪引いた)
でもこれはこれで何かネタになるのではないかと思って書きました。
にしても1週間はどうだと思うが…(汗)

あと自分でも何がしたかったのか暴走した。

ブログの方の南師が本調子じゃないんで南師のキャラ補完ということで(汗)

 

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