※義務教育修了者以上対象となります。
※該当されない方は閲覧しないでください。
tell me why.
俺を好きだと言ってくれた。
愛してると言ってくれた。
俺も好きだと、お前に返した。
俺が全てだと言ってくれた。
俺がいなければ生きていけないと言ってくれた。
俺は嬉しいと、お前に返した。
会うたびに狩谷は、俺に触れる回数が増えていった。
俺を放さない時間が長くなった。
次第に俺を束縛するようになってきた狩谷が怖い。
それでも、俺の全てが欲しいと言ってくれた狩谷がたまらなく好きだった。
怖いなど、精神回路の錯覚だ。
俺は、ただ狩谷のそばにいられるだけで良かった。
だから狩谷からの行為も受け入れた。
でも、
俺の中では仕事と恋は別。
仕事中は一切狩谷と会わなかった。
会ってしまったら、「幹部の南師」ではなくただの「猩」になってしまうから。
コンポーザーを狙うという事は、まだ俺のなかで最重要項目に入っている。
だから、行動には出せなくても応援してくれるものだと思っていた。
仕事をしている俺に「よく頑張ったネ」と褒めてくれると思っていた。
お前に傷付けられるまでは――――――。
暗い視界
動かない手足
言葉を発せられない口
ただ一つ感じられるもの
狩谷がここにいるという気配だけ
「っん……」
「オハヨウ、猩」
何も見えない。
何も動かせない。
それなのに感じる、狩谷の気配。
頬を触れる暖かさが伝わってきているはずなのに、それが全身に伝わらない。
「ゴメンネ。今外してあげるからチョット待ってテ」
目と口から外される違和感
どうやら違和感の正体はタオルだったようだ。
開かれた視界に入る世界は、狩谷の部屋。
その後に今の自分の状態を確認した。
何故かコートの前が開かれ、ズボンのベルトが外されていた。
腕の拘束はいまだ解かれない。
「……かり、や…?」
「ヨカッタ。結構血が出たカラ、もしかしたら目が覚めないかと思ったヨ」
その言葉に、昨夜の記憶が蘇る。
いつものように夜を過ごしていて
狩谷からの問いに俺が答えを返した時―――
下半身に痛みが走った。
腹を触ると、手は紅黒く染まった。
そして意識はブラックアウトした。
「っ!?」
「まだ動くナ。傷口が開くダロ?」
「テメェがつけた傷だろ…が……。」
「ああ、それは……ゴメン」
全く悪気の無さそうな顔をしていつもと同じ笑みを浮かべる狩谷。
俺にとっては非日常
でも、こいつにとってはいつもどおりの日常なのか…?
狩谷は俺の腕の拘束を解く気は無いらしく、俺の上に覆いかぶさるようにして乗っかり俺の首へと舌を這わせる。
それは狩谷がいつも飴を舐めるような仕草で、全く不自然なく俺の首を舐める。
そのいつもどおりの仕草に、今が異常な状態だとわかっていながらも感じとってしまう自分がいる。
「ぁ――――んっ」
「カワイイ声」
傷口はまだ塞がってないらしく、ズキズキと全身に響き渡る
痛さと
教え込まれた快楽
その両方の波を、唇をかみ締めて耐えた
それこそ、血が出るくらいに強く
「っんん―――!!」
「駄目ダ。俺以外が傷つめるのは例え猩だって許サナイ」
無理やり指を口の中に入れてきた狩谷は、そのまま指で俺の口腔内を犯す。
舌を指で弄び
唾液が口の端から零れ落ちた。
「あっ…くっ、ふぁ」
「苦シイ?今、指出してあげるカラ」
引き抜かれた狩谷の指には、俺の唾液がドロドロと付いていた
口から違和感が無くなって直ぐに今まで満足にできなかった呼吸ができた。
必死に酸素を求める中で、俺の中で落ち着きが戻ってきた。
こうなった状況を考えられる位にまで
「はぁ…はぁ…、狩…や…」
「んっ?ドウカシタ?」
「何で……こんな、事…した…んだ」
「"こんな事"って何ガ?」
本当に何も知らないような顔をして俺の目をじっと見つめる狩谷
その目の奥に
何か深く黒いものを感じて、
それ以上お前に見られたくなくて
視線を逸らした
嫌
逸らそうとした――――。
「うっ…!?」
「こっちを見てヨ。何で目を逸らすんダヨ」
顎を押さえられ、狩谷の鼻が俺の鼻に付くくらいに近くに
その目が
さっきよりも
より
黒く
深く
そんな目で俺を見ないでくれ!!
「"こんな事"って何?ちゃんと言えたら、腕の拘束、外してアゲルヨ?」
優しい笑み
いつも俺に向けてくれていた暖かい笑み
それなのに
どうして俺の体は心から震えてるんだ――――。
ごくり
唾を飲み、ゆっくりと、自分でも落ち着いて、気持ちを吐き出した。
「何で…俺を―――――刺したんだ」
思い出したくなかった
認めたくなかった
でも
何もかもが訳のわからないことになっていて
頭の中で計算式が何一つ組み立てられない
俺の心が、先にクラッシュしてしまいそうだ
「ゴメンネ」
いつだったか待ち合わせの時間に遅れた時、こいつは同じ事を言った
今も同じ。
この非常識な空間で垣間見る
日常的な光景が
よけいに今の状況を
わからなくさせる
「アレはさ、つい衝動でやっちゃったんダ。だから俺もビックリしてんノ。でもさすが幹部サマダネ。もう傷が塞がってルヨ」
狩谷に言われて、さっきまでズキズキしていた傷の疼きが無くなったのに気づいた。
でもそんな事、今はどうでもよくて――――
「何で俺を刺す必要があったんだっ!! 俺が憎いのかっ!? だからこんな……」
「やっ……違うヨ!!猩!! 俺はお前の事憎んでる訳じゃナイっ!! 今でもお前のこと―――愛してるヨ」
「だったらっ!!何なんだよ、これはっ!!」
一生懸命否定する狩谷の姿に
今まで溜め込んでいた俺の思いが爆発した
何も考えず
計算立てもせずに
只思いついた言葉を吐き出すなんて
普段の俺だったら考えられねぇ
「どうなんだよっ!! 狩や――――っん!!」
折角開放された口は、狩やの口に塞がれ、
深く 深く
繋がれた
呼吸ができなくて
逃げることもできなくて
俺の目からは 涙が零れた。
「っふあ、ぁ……やめ……狩、谷…んんっ!!」
「んっ……猩」
「あうっ…ん…はぁ…」
舌が互いに絡まり 互いを刺激する。
只でさえ頭の中はぐちゃぐちゃなのに、真っ白になってしまいそうだ
「はぁ…はぁ…」
「……ナァ、猩。俺はお前の中で何割を占めてるンダ?」
「はぁ……はぁ……?」
口を放し開口一番に聞かれる
息を吸うことしか考えていなかった頭にそんな事聞かれても
いや、
そうでなくても
「何……言って…ん、だ…? お前……?」
「俺は、猩の中で一番?」
気迫迫る狩谷に、変に誤魔化すことはこの後の自分の安全に結びつくことを
この数分で理解した
だから、正直に
(絶対普段だったらこいつの前では言わない、否、言いたくない)
俺の気持ちを口に出した。
「……ああ…」
「――――嘘」
そう言って欲しいんじゃなかったのか
まさかそんな事言われるコトなど 全くの計算外
ただ独り
俺が独り取り残されたこの異質の空間で
狩谷は
謳うかのように笑顔で 語りだす。
「前に言った事、あるヨネ。“お前が全て。お前がいないと生きていけない”ッテ。覚えテル?」
「……ああ」
「俺はネ―――――猩も俺と同じになって欲しいんダヨ」
ゆっくりと 俺の手を縛るものを撫でながら、俺を拘束を解いていく
拘束を解かれでも
何か見えないもので拘束されているよな……
そんな圧力を感じる。
解いた手はそのまま俺の顔、首、胸、腹と下へ移動していき、下着の中へと手を入れた。
その突然の感触に、俺は息を呑んだ。
「猩を見るためにこの目はアル。
猩の声を聞くためにこの耳はアル。
猩の身体を抱くためにこの腕はアル。
―――――俺は、猩がいるから生きているンダ」
「――っああ!!……くっ!!」
ナカへと、狩谷の指が入っていくのが身体中へ伝わっていく。
痛みと 恐怖と 快楽と
もう 何もワカラナイ 感情が
込み上げ 浸蝕され 蝕われる。
狩谷の言葉一つ一つが 甘美な響きにも 悪魔の囁きにも似た
俺の全てが こいつのナニかに 奪われていく。
「だから嫌なんだヨ。たとえ俺が一番でも、“コンポーザー”の事を考えているってだけで――――君を殺したくナル」
「あっ……んんっ! 止めっ……狩、やっ!!!」
「でも安心シテ?猩はこのまま、ずっと、ここにいて、俺の事だけを考えていればイイカラ」
ナカに入れられた指の数が増やされ、その動きのせいで声が止まらない
ひたすら流れる涙を、狩谷は舌で舐め取りながら、下着ごと俺のズボンを剥ぎ取った。
そして
慣らされたソコに、狩谷が一気に貫いた。
その熱に 頭の芯から痺れ
快楽を求めたい――――狩谷が欲しい、とそれだけしか考えられなくなった。
狩谷の首に手を回し、より深く、より熱く、求めた。
「っ……ぁあ!!くっ……か、狩……谷ぁ…」
「んっ、くっ……猩…」
「もっ…ダメ……、んんっ!! ぁぁぁあああ!!」
「猩……猩……好きダヨ、猩が好きダ。もう放サナイ」
解放と共に意識が遠のいていく
そんな俺を抱きしめる狩谷は いつもと全く変わらなくて―――
それなのに
何故そんな悲しそうな顔をしているんだよ
目が覚めると、狩谷の腕の中で俺は寝ていた。
下半身の気持ち悪さはなく、俺が意識を手放した後のことは全て狩谷がやってくれたらしい。
昨日のことで体はダルく、動かすことはできなかったが狩谷の顔は見る事が出来た。
安心しきった顔
(何故そんな顔ができるんだ?)
俺の頭に優しく置かれた手
(この手が俺を刺したんだ)
包み込むように俺を抱く腕
(何故こんなに優しいんだよ?)
互いの気持ちは繋がっている筈なのに
壊れていく
何故か言ってくれ
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あとがき
きゃぁぁぁぁぁ。
書いてる自分が段々恥ずかしくなってキター!!
こんな露骨に書くのはネットでは初めてなのでどうも変です。
テーマは「南師に執着する狩谷」。
もうまんまです。
南師は狩谷の事が好きだけど、それとは別にコンポーザーになりたいっていうのも大事
でも狩谷はそれすらも許さない。
だから閉じ込めて自分の色に染めてしまおう。
いっそもうどんな手段を使ってでも手に入れよう。
そんな狩谷です。
狩谷は猩ちゃん大好き〜♪っていう軽いノリも好きだけれども
こういう黒い狩谷も好きです。