「狩谷っ!!今日こそは勝たせてもらうぞっ!!」
「さぁ?ドウカナ?」
千鳥足会館前。
マーブルスラッシュが流行っているというゲーセンの前で、狩谷に宣誓布告をした。
目の前に置かれたのは
マブスラの台。
お互いに1機のみの1発勝負。
この勝負、何が何でも勝たないといけない―――。
revenge
事の発端は2週間前、突然狩谷が俺に言った言葉
「南師、マブスラしない?」
「……はっ?ゼタ意味不明な事いってんじゃねぇよ」
「負けた方が今日1日、勝った方の言う事に絶対服従。ドウ?やってミナイ?」
確かこんな会話から始まった。
いきなりマブスラに誘うこいつも変だが、その申し出内容がまたゼタ意味不明。
こいつは、何を狙ってんだ。
「……くだらねぇ。んなガキの遊びに付き合ってられるか」
こんな奴に付き合ってる場合じゃねぇ。
早々に立ち去ろうとした俺に、こいつは――――
「ヘー。南師でも苦手なものってあるんダナァ」
などと吐きやがった。
「……てめぇ。今何て言った」
「南師はマブスラやったことないし、無理な話だったヨネェ」
「俺は経験者だっ!!……そこまで言うんだ、自信あるんだろ」
「チョットネ♪」
「その鼻、へし折ってやるっ、ヘクトパスカルっ!!」
1回目の勝負はこうして始まった。
結果は、俺の負け。
それだけでも衝撃を受けた俺に、こいつはさらに追い討ちをかけた
「お前の部屋でサ、ヤラしてくれない?」
こうして俺の地獄の日々が始まった。
その日から、こんな屈辱を与えた狩谷に復讐するために、幾度も勝負を挑んだ。
でも、
何故か負け続けた。
こいつ、幹部の話を蹴ったおまけにこんなにマブスラ強かったのかっ!?
しかも
こいつの要求は次第にエスカレートしていった。
どこから持ってきたのかわからないセーラ服とかメイド服を持ってきて俺に着ろといいやがるっ!!
本人は「道玄坂のラーメン屋にあった」って言ってたが嘘に決まってる!!
んなもんがラーメン屋にある訳がねぇだろ!!
俺の部屋で
俺に変な服を着せて
最終的に俺を押し倒す。
こんな事、今日で終わらせてやるっ!!!
「やけに今日は張り切ってるネ。もしかして、俺との事が楽しみになってきたトカ?」
「んな訳ねぇだろっ!!変態がぁ!! 今日こそはてめぇに勝ってやるっ!!!!」
そうだ。
俺はこいつに勝つために仕事をサボってまで(←笑)マブスラの特訓に勤しんだ。
ゲーセンに行き、チャンピオンンとか言ってた赤いハチマキつけてた奴――――確か修斗とか言ったか―――からも助言を貰った。
今日の俺は、いつもとは一味違うんだよっ!!
「いくぜっ!!」
「へぇ、今日はいつもと戦法が違うネ。何かアッタ?」
そんな余裕も今のうちだ。
頭の中で修斗の言っていた言葉を思い出す。
『相手がスババーってきたらヒュってやってバーンってやったらスパパパーって押してドーンってやるんだよっ!!兄ちゃん!!』
「ゼタ意味わからねぇ――――――!!!!!(汗)」
「うわっ!!」
改めて考えてみたら何言ってたのかさっぱりわかんねぇ。
つい声にだして文句をいったら、それに驚いた狩谷がミスをした。
そして、
狩谷のバッジは落ちた。
「……」
「……勝ったのか?俺は」
「……そう…みたい、ダネ」
狩谷も驚いてるみたいだが、一番驚いているのは俺だ。
あれ程苦労した狩谷にこんな意外な形で得た勝利。
その驚きにしばし唖然としていた。
「アーア。負けちゃったナァ」
「……」
「まっ、こういう時もあるヨネ」
狩谷は割り切ったみたいだ。
「ところでさ、南師」
「……?」
「俺に、何か命令はナイノ?」
忘れてた。
勝つ事に必死になりすぎて、そっちのことは頭に無かった。
何も考えていなかったのだからすぐに答えられる訳がない。
完全に俺のミス。
計算違いだ。
とりあえず部屋に行こうという狩谷の申し出に、つい今までの習慣でうなづいてしまい、俺の部屋に向かった。
「サテ。初勝利を飾った南師サンは、俺に何を御所望カナ?」
慣れた仕草で俺のベッドに腰を下ろす狩谷。
それはそんな狩谷の前にただ立ち尽くしていた。
今までだったら嫌がる俺を狩谷がベッドに突き飛ばし、上に乗っかってくる。
今日はそれが無い。
されない。
それは嬉しいこと。
それなのに、今の俺の頭に浮かぶのは事情中の狩谷の言葉
『好きだよ』
俺が聞こえてるかわからない時に、ふとこいつが囁く言葉。
何でそんなことをいうのか。
いつも目が覚めて狩谷がいなくなった後に冷静に考えた。
いつの間にか、それが気になってしょうがなくなっていた。
「……何で」
「んっ?」
狩谷に近づき
後ろに突き飛ばして倒れたところに乗っかった。
あいつの胸のところに頭をくっつけて、そのまま只上に乗っかった。
「何でこんなことしたんだよ……」
本当は憎んでるはずなのに
何で俺の声は泣きそうなんだ。
ぎゅっ……
狩谷の服をつかんで涙が流れそうになるのを耐えた。
それを知ってか知らずか、狩谷は俺の頭に手を置いて撫で始めた。
「ゴメンネ。南師」
狩谷からの優しい手に俺は動揺を何とか隠した。
「俺って、好きな子の事いじめちゃいたい性分ナンダ。だから……ゴメンネ」
こんな事でもしないと、お前と触れ合うことができない―――――そう続けて。
その声に
言葉に
何で俺はこんなにも泣きそうなんだ。
「……とりあえず、このままじっとしてろ」
今動いたら俺の変な顔が見られてしまう。
そう思って言った言葉なのに、変な気持ちになる。
「ワカリマシタ。勝者サン」
狩谷はそれ以上何も言わず、只俺を受け止めた。
いつしか憎しみの心は
とうに消えていた
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あとがき
この話で書きたかったこと
↓
狩谷と南師のマブスラ、
修斗に教わる南師、
シークレットアイテム、
変態な狩谷
以上4点。
なのに……
何、このオチwwww
無理やりヤラれてたけど、実は南師は狩谷のことが好きだったのだろうか。
それとも狩谷のプレイ(爆)にハマッてしまったのか。
一体何なんだ……?
改めて思う事。
すばせかって凄いねwww
普通に装備品に「メイドセット」とか男女の制服とかゴスロリ服があるし、
おまけにそれを主人公でも着れるんだから凄いよねwww
ちなみに「あいつのキャップ」「おれのヘッドフォン」「メイドセット」は何があってもずっと装備してます。
執筆した本人も疑問なオチで、失礼します。