だれか
おしえてほしい
I want you to mind.
ポークシティの屋上でいつものように二人で座る。
狩谷と俺。
今だけは二人だけの世界。
互いに背中を合わせ、背中から感じる相手の温もりを感じる。
でも、それ以上のことはない。
「こうしてのんびりするのも、たまにはイイナ、猩」
「……ああ」
いつものように飴を舐め、
いつものように名前で呼ぶ。
たったそれだけ。
本当は気付いてる。
狩谷がもっと俺と触れ合いたいって思っている事。
感じたいと思ってる事。
ひとつになりたいって思ってる事。
でも、それを拒否したのは俺自身。
“ほんの少しの時間でも、一緒にいれるだけで満足ダヨ”と狩谷は言った。
でも俺は、本当はもっと狩谷を感じていたいと思っている。
そうできなくしたのは自分のくせに。
俺の中の壁が、邪魔をする。
「……拘輝」
背中越しに狩谷の名を呼ぶ。
狩谷はすぐに答えてくれる。
「ドウシタ? 猩」
口では鬱陶しいとかゼタうぜぇとか言ってるが
本心でそう思ってないことを
自覚している自分がいる。
「……いや、別に」
「んっ、ソウカ」
……気持ち悪。
もやもやするこの感覚がゼタ気持ち悪りぃ。
こんなの俺じゃねぇ。
俺は南師猩。
あのコンポーザーに変わって新たなコンポーザーになる男。
いつまでもうじうじと考えててどうするっ!!
「狩谷拘輝っ!!」
「っ!??」
立ち上がって狩谷に向かい合う。
突然呼ばれて狩谷はびっくりしてるみたいだが関係ねぇ。
「構え」
「―――――――っへ?」
「構えって言ってんだよ!!言葉も理解できないヨクトグラムなのかっ!?お前はっ!!」
狩谷が完全に固まっていた
自爆した……。
もっと他に言い方があっただろっ/////
何だよっ!! 「構え」って!!
ゼタ意味不明!!
一人で馬鹿みてぇじゃねぇかっ!!!
ああ、畜生っ!! この空気をクラッシュしてぇ!!!
「えっと………どうかまって欲シイ……?」
その答え方もどうなんだ。
俺もそうだが、狩谷もよくわかんねぇ事を言っている。
「……と、とりあえず……座らナイ?」
狩谷にそういわれ、隣に座ろうとする―――――と
「あ、チガウチガウ。隣じゃなくてコッチ。こっちの方が密着できてイイデショ?」
狩谷が指をさしたのは膝の上。
普段の俺だったら文句の一つでもいってるところだが、自分で言った手前こいつの言うことを聞かないといけないような気がした。
今更だが、自分の言ったことをゼタ後悔。
というか、こいつ。
ここぞとばかりに言ってきてないか……?
狩谷の膝の上に狩谷に後ろから抱かれるようにして乗る。
狩谷が優しく抱き寄せ、俺の心臓がクラッシュしそうになる。
「そうかそうか。猩、俺にそんなに構って欲しいんダ〜♪」
そういいながら頭を撫でてくる狩谷。
優しく撫でてくるその手が暖かく感じ、なんだか心地よい。
「ヨシヨシ♪ 構って欲しかったら、いつでも言ってくれてイインダヨ♪」
狩谷が嬉しそうに俺に言う。
狩谷が喜んでくれるのは俺も嬉しいけど
そんなの、俺のキャラじゃねーから。
悪魔で、いつものように。
「……ゼタうぜぇ……////」
だれか
おしえてほしい
愛しい人に
もっともっと
愛してるって伝える方法を
〜おまけ〜
「こうしてのんびりするのも、たまにはイイナ、猩」
「……ああ」
背中合わせに座る俺の可愛い猩は、それだけ言うとまた黙り込んでしまう。
まさか俺があの南師とこんな関係になるとは思わなかった。
それに、俺がこんなに猩にぞっこんになるなんで思わなかったし。
「……拘輝」
「ドウシタ? 猩」
「……いや、別に」
「んっ、ソウカ」
本人には悪いけど、恥ずかしがって葛藤してる猩はカワイイ。
ああ、ツンデレ萌えってやつなのかなw
何か、いつも強がってる猩をいじめて泣かしたいとか思うんだよねぇ……たまに。
「狩谷拘輝っ!!」
「っ!??」
「構え」
「―――――――っへ?」
「構えって言ってんだよ!!言葉も理解できないヨクトグラムなのかっ!?お前はっ!!」
いいのっ!?
色んな事しちゃって!?(←え)
顔を紅くして一生懸命訴える猩は――――――カワイイっ!!!
俺もいきなりの事にちょっと変なことも聞いたけど、とりあえずは。
「……と、とりあえず……座らナイ?」
立ったままではあれだからって猩を隣に座るように促すが……折角だし。
「あ、チガウチガウ。隣じゃなくてコッチ。こっちの方が密着できてイイデショ?」
案の定、顔をさらに真っ赤にして一瞬考えてから俺の膝の上に座った。
抱き寄せて、頭を撫でてやると心なしか嬉しそうだ。
なんか、犬でも飼ってる気分だなw
そのうち耳とか尻尾とか生えてきたらいいなぁ……ってなに妄想してるんだ、俺。
ああ。
俺。
かなりこいつに侵されてるナ。
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あとがき
狩→→→←南から狩南になる話。
携帯サイト「ビート&リズム」の音光さんとの相互記念小説です。
甘狩南です。
執筆者は「甘い」という言葉の概念を理解できているのか……(汗)
どんだけツンツンなんでしょう、うちの南師は……。