ここにひとつの首輪と鎖がある
犬用というよりは、それよりも大きな動物用に作られた、皮製の頑丈な首輪
それと対になるシルバーの鎖
実はこの首輪と鎖、ある秘密があったりする。
最初に首輪をあるモノに付け、その後に鎖を繋げると
その繋げた相手に絶対服従するというもの
そう
この首輪、じつは人間用。
噂には聞いてたけど、まさか本当にあるなんて思わなかったよ
キャットストリートに変なのが置いてあるって、羽狛さんから預かったんだけど
折角だから、使ってもいいよね?
あのナマイキな彼に……ね
attach a collar!!
【side:南師】
「何だ、これは……」
仕事が終わり、部屋に着くと怪しい物が置いてあった。
差出人不明の、30センチ位の小さな小包。
「……どうせ、虚西サンとかメグミちゃんだろ」
深く考えずにその小包を持って俺は部屋の中へ入っていった。
このときに、もう少し警戒していれば、あんな事にはならなかったと
今はゼタ後悔している。
自室の椅子に座り、小包の袋を取っ払う。
中にはシンプルな箱一つ。
少なくとも、爆弾や薬物ではない。
俺の鼻がそう嗅ぎ取った。
「危険物じゃなさそうだな……開けるか」
箱のフタを持ち、なんも躊躇なく開けた。
中に入っていたのは―――――
「……首輪?何だこれ……」
中に入っていたのは紅い首輪だった。
犬用か……?
中身も確認し箱のフタを閉じようとした。
――――が、
ガジャッ
「っ!!?」
箱にあったはずの首輪は突然俺の首目掛けて飛び、俺の首に装着された。
「なっ……何だよ……これ……」
さっきまで確かに“持っていた”ものが首に“ついている”。
この首輪は生きているのだろうか
そんな気さえ起きる。
「くそっ……!! 外れねぇ!!」
何度も力任せに引っ張ってみるも。全く外れる気配はない。
むしろ、段々締め付けられているような感覚に気持ち悪くなってくる。
「くそっ……!! こんなの用意できる奴はあいつしかいねぇっ!!」
外れない首輪を付けたまま、俺は犯人の下へと向かった。
【side:北虹】
「コンポーザー様、今日は上機嫌ですね」
「フフフッ……そうだよ。よくわかったね、メグミ君♪」
普段は部屋に篭りきりなコンポーザー様がどういう訳が会議の場に参加している。
しかも鼻歌まで歌ってかなりの上機嫌のようだ。
本来ならば喜ぶところではあるが、この方に限っていうならば、とんでもないことに決まっている。
しかも語尾に「♪」まで付く始末。
これは絶対何か ある。
「……そろそろ来る頃だね」
「一体誰が来るのですか……?」
「フフッ……それは「コンポォォザァァァァ――――っ!!!」
扉が破壊されるのではないかという位の勢いで開けられる扉。
いや、扉は破壊された。
問題児、南師猩によって。
「会議もないのにお前が来るとは珍しいな」
「どけっ、メグミちゃんっ!!後ろのコンポーザーを殺るからどけっ!!!」
「殺らさせる訳がないだろ。それにしても一体何があった、南師」
普段全身を黒でコーディネートした格好の南師が、部屋着なのか、黒のTシャツにジーパンとラフな格好をしている。
着替えるヒマもない位急なことなのだろうか。
だが、帽子だけはしっかり被って、しかもしっかりとつばを押さえている…。
これだけ怒り狂っているのだ、きっとコンポーザー様が何かしたに違いない。
だからあんなにも機嫌が良かったのだ。
そうこしているうちに、私が南師を押さえつけている間にコンポーザー様は背後に回りこんでいた。
「そんな物騒な事言わないでよ、猩君。それに―――――隠しきれてないよ?フサフサのしっぽがね」
「っ!?」
コンポーザー様がそういうと南師はすぐさま自分の背後を確認した。
確かにしっぽがあるな…………ん?
何で、しっぽがはえてんのぉぉぉぉぉぉぉ!!!???
「こっ…コンポーザー様。これは一体……」
「フフッ。僕の作戦は成功したみたいだね、猩君♪」
さっと、コンポーザー様は南師の帽子も剥ぎ取った。
何か犬耳もはえてるぅぅぅぅぅぅ!!!!
「さっ、こっちにおいで♪今日から猩君は僕の“犬”になるんだから♪」
どこから出したんですか、その鎖ぃ――――!!!
「コンポーザー様っ!!落ち着いてくださいっ!!」
「フフフフ♪邪魔すると消すよ?メグミ君」
駄目だ。この人は本気だ。
だが、このまま放置すれば公務をすっぽかしてしまう。それだけは避けなければっ!!
【side:虚西】
「“南師を捕まえろ”……ですか?」
「ああ…。そういう事になった」
頭を抑える上司を見て、どうせまた下らないことを任されたような気がしてイラっときた。
それでも表情に出さずに従うのは、彼が上司だから。
彼の話によると、伝説の首輪を手に入れたコンポーザーが南師さんに送ったらしい。
その伝説の首輪というのが、装備者を動物化する力を持ち、それを従属させることができる。
一体誰がこんなドS道具を作ったのかしら。
コンポーザーと指揮者が口論のうちに南師さんは逃走し、そのつけがこちらにも回ってきたということ。
今はとりあえず、こういう事。
「捕まえたら、コンポーザーに献上するのですか?」
「そうだ。……全く、一体誰がコンポーザー様にあんな物を……。あの方は玩具で人を困らせる事に快楽を得てるような方なのに……(汗)」
「はぁ……」
今初めて、指揮者を狙わずにコンポーザーを狙い続ける南師さんの気持ちがわかった気がしました。
「公務のことを考えるなら、他の誰かが捕獲した方がコンポーザーも諦めるのでは?」
「うむ……」
「私かキタニジ様が捕獲すれば、それで話は広がらずに済みそうですし、それに――――」
確か私の記憶では主の言う事に絶対服従になるはず。
私が南師さんを捕まえれば、あの鬱陶しいゴミ山をもう建設させない事ができる。
私の命令を聞いて仕事も真面目にこなし、私の命令でゴミ山も作らない。
理想の南師さん。
きっと、私が靴を舐めろといったら舐めるだろうし、鳴けっていったら泣きそう。
あら、意外にいいわね。
「虚西くん……。何か、変なことを考えていないか?」
「いえ。そんなことはありません。……他の死神たちに捕獲してもらいましょう」
「虚西くん……。さっきから思っていたんだが“捕獲”ではまるで動物を捕まえるような表現のような気がするが……」
「現に動物化していますから、同じものでしょう」
最も、普段の彼からして動物的であり捕獲といってもなんら違和感はないと思うけど。
「仕方が無いですね。勿体無いですけど」
「えっ、何が勿体無いのだね……?(汗)」
【side:狩谷】
「……ねぇ、狩谷」
「ドウシタ?卯月」
「今回の指令って一体何なの…?」
「サァ? 上の考えてる事は下っ端の俺たちにはわからナイサ」
さっき伝令の死神からもらったある指令。
“南師を鎖を使って捕まえろ”
たったこれだけ。一体上で何したの、猩チャン。
そんな訳で、配布された鎖片手に卯月と一緒に猩を探してるっという訳で。
鎖って……一体何年前のヤンキーだよって話。
大体、これ、何に使うのよ。
「「あっ」」
鎖から目を離した瞬間、俺たちの目の前を本人が通り過ぎた。
卯月と一緒に急いで飛んで追いかけ、俺が猩の前に立ちはだかった。
「かっ……狩谷っ!?」
「猩チャン、見〜つけた♪」
あれ?いつもの格好じゃない。
へー。普段けっこうラフな格好なんだね。
ってアレ?
首についているのってもしかして――――
「モシカシテ、それって伝説の首輪……?」
「嘘っ!! 本当にそんなものってあったのっ!?」
目を輝かせながら、猩の後ろに回りこんだ卯月が帽子を奪った。
「やっ……止めろっ!!」
「スゴーイ。本当に耳が生えてるっ!!」
猩の頭から生えている犬のような黒い耳。
元々それっぽい顔をしてるから、その耳がかなり似合っていて。
卯月が帽子をとったせいで少し涙目になってる猩。
何というか――――――萌。
「ちょ……狩谷っ!!鼻から血が出てるわよっ!!」
「……ぇ?」
あ。ホントだ。血でてる。
でも、これはしょうがないでしょう。
だって、可愛い過ぎるってば!!
もしかして……上からの命令って、これのことなのかっ!?
猩を捕まえて自分の好きにしていいってことかっ!?
「フフフフフっ……猩チャーン♪他の奴らに捕まるまえに俺が助けてあげるカラネ〜vvv」
「お前のその手の動きのほうが明らかに怪しいんだよっ!!!!」
「あっ!!逃げられた!!」
ノイズ化した幹部さまを下っ端が追っかけられるわけもなく……。
猩の姿は人ごみのなかに消えていった……。
「……絶対に見つけて捕まえてやる」
「あんた……語尾のカタカナ無くなってるわよ」
【side:777】
「おーい。上から変な指令出てるぞー」
リハーサルを終え、片づけが先に終わっていたテンホーが伝令を持ってきた。
RGとUGの二つの生活をさせてもらってんだ。
ちゃんとお仕事はしないとな。
「“南師を鎖を使って捕獲して服従させろ”……?いや、意味わかるようでわからないんだが…」
大体“捕獲”ってなんだ捕獲って。
確かに動物的だけど人間としての認識ゼロなのか?上司は。
いくつかの疑問が残るが、上からの命令は従わないといけないのが下っ端の宿命。
片付けを早々に終わらせた俺たち3人は、分かれて探すことになった。
とにかく広い所。俺たちの経験上、広い所でオブジェを見る確率が高い。
オブジェあるところに南師ありき。
「やっぱり……な」
いたよ、本当に。
自分で作ったオブジェの陰に隠れている。
本当ならここで背後から気づかれないうちに捕まえるのが正しいやり方だろう。
でも、気になったんだ。
南師の尻から生えている……その……尻尾が。
何コレ。飾り?ふざけてるのか?
ゆっくり気配を消しながら近づき、おもむろに尻尾を掴んでしまった。
そしたら―――――
「ひゃぁっ!!////」
エロい声が返ってきた。
というか、この尻尾本当に生えてるのか!?
何かふわふわして気持ちいいし…。
何となくそのまま尻尾を弄ってみた。
「なっ…テメッ……っ!!離しやが、ぁあ////」
そのまま力なく南師は座り込んでしまった。
もしかして、尻尾が弱点なのか?
てことは、捕獲任務完了?
「えっと……後は鎖をつければ任務終了、か」
「ばっ……!!止め、ろ!!その鎖だけは…付けるな……!!」
「その鎖をつけるのは君じゃなくて僕だよっ!!」
「「は!?」」
聞き覚えのある声に邪魔をされ、一体ダレなんだと振りかえると、あのヘッドフォンをつけた参加者と一緒にいた携帯の男がいた。
え?何でUGにいるの?
しかも鎖持ってるし。もしかして死神だったのか?
「こんなところに逃げても無駄だよ、猩君♪さあて、僕の犬になってもらおうか」
「くっ…!! おいっ!!手を放しやがれっ!!」
「えっ?」
突然の展開と暴れる南師に、つい手を放してしまった。
その隙を突き、南師は物凄いスピードでこの場を去ってしまった。
ヤバイ……任務失敗じゃないか。
いつの間にか携帯の男もいなくなってる。
一体何なんだ、今回の任務は。訳がわからない。
それに――――あの南師にキてしまったのはどうしたらいいんだ。
【side:羽狛】
「っお、珍しい客が来たもんだ」
開店準備をしていると目の前から珍しい客。
南師猩。
俺が堕天使として色々利用した男。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「大丈夫か? ほら、コーヒーでも飲むか?」
「……てめぇに聞きてぇことがある」
「んっ?」
「この首輪、どうしたら外れる」
「っ!! あいつ……まさか本当に使うとはなぁ……」
呆れたというよりはやっぱりと思うべきか。
こういう玩具を何より喜ぶ奴だということを改めて思い知らされた。
それにしても意外だ。
俺はてっきりヘッドフォンにつけるものだと思っていたが……。
機嫌が悪ぃ時にこいつがきっと何かしらしたのかもな。
「で、一体どうすればこれは外れるっ!!」
「そんなの簡単だ。外してもらえばいい」
「誰に」
「飼い主さ。飼い主がてめぇの首輪を外せば、てめぇは自由になれる」
「飼い主って……っ!!」
「ようは誰かに捕まらない限り、てめぇの首輪は付けっぱなしって事だな」
「ちょ……!!ふざけんじゃねぇ!!あいつら何かに捕まったら、んな事するはずがねぇじぇねぇかっ!!」
確かに。あの方がそう簡単に離す訳がない。
すぐ離すようだったらこんなことはしない。
本当は関わりたくは無いんだが……これ以上騒ぎが広がってはお仕事が進まない。
(あの人の事だからサボるためにこんなことをした可能性もある…)
「……提案がある」
「あ?」
「俺がてめぇの飼い主になる。で、てめぇの首輪を外す。それで自由になってこの騒動は終わる」
「てめぇが本当にこの首輪を外してくれる証拠はあんのか……」
「外してやるよ。但し、条件付きだがな」
本当はこれ以上騒ぎが広がるのを防ぎたいからとっとと終わらせたいというのが本心だが、
わざわざこいつが俺を頼ってきてくれたんだ。
しかも、こんな扇情的な格好で。
少しくらい楽しんだって損はない。
「まず付けた状態で一回、で外した後にもう一回ヤらせろ」
「っ!!」
「さ、どうする?南師」
コンポーザーの話を振ってきた時にはあっさり了承したが、自分の体の事になるとそうはいかない・か。
かなり真剣に考えている。
「だっ……誰がてめぇの“犬”になんぞなるかぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら南師は宮下公園の方へと走り去った。
後に残された俺は止まっていた開店作業に再び戻る。
机を拭きながら、先ほどまでの南師の姿を思い出し――――
「あーあ。ちょっと勿体無かったなぁ」
【side:南師】
「はぁ…はぁ…。ちくしょ……」
首輪の解除方法はわかった。
それだけでもあいつの所にいったのは正しい選択だった。
ただ問題は、どうやって解除するか―――だ。
「どう考えても、“あいつら”に頼める訳がねぇ」
とすると、俺の知っている人物の中でそういう欲の奴は……。
あの、ヘクトパスカル達しかいねぇ。
ヘクトパスカルに頼むなんて俺のプライドが許さねぇ。
だが、ここで折れないとプライドがどうとか言ってる場合ではない。
俺の人生と尊厳、そして“貞操”の安全が掛かってるんだっ!!!
「くっ……探すしかねぇって事か」
あてはなかった。
それでも、もしかしたらいるかもしれない。
小さな願いを胸に、俺はハチ公前に向かった。
【side:音操】
「……(何だろう。何か、嫌なことに巻き込まれそうな気がする)」
渋谷を一人で歩いていた俺は、ハチ公前に差し掛かった時、悪寒を感じた。
また…死神とかそんなのに巻き込まれる…訳はないか。
「ビイト達はまだ来てな「ヘクトパスカルぅぅぅぅぅ!!!!」」
はっ?へくと…パスカルっ!?
こんな言葉を日常的に使う奴なんて…俺の知ってる限りでは一人しかいない。
「みっ…南師っ!?」
「おい…ヘクトパスカル……。協力しろ」
「はぁっ!?」
オブジェ死神―――南師が俺に何の協力をしろとっ!?
というか、アレ……ここUGなのか…?
それに…何の冗談だ、この格好は。
耳と尻尾が生えてる。
何かのエントリー料のせいでこんなことになってるのか?
「協力しろって言ったって、何しろっていうんだよ。てか、巻き込むな」
「あぁ? 虚数にされてぇのか!? いいから俺の言う事を聞きやがれっ!!」
俺に拒否権は一切無いらしい。
出てる、出てるよサイン・コサインが出てるよ。微かに。
サイキックを使えない今の俺に、断れるほどの力はない。
「それで…なんでこんな事になってんだ?」
「それは――――「見つけたよ、猩君っ!!」」
南師の背後から聞こえた声は、俺にも聞き覚えのある声―――ヨシュア。
何なんだ。何でこんなに生き生きとした顔してんだ、こいつは。
絶対―――――ろくでもないことに巻き込まれた。
「あれ?ネク君がどうしてココに…? まぁ、いいか。ネク君、後ろに隠れている猩君を引き渡して欲しいんだ」
「引き…わたす?」
「そいつの話を聞くなっ!!ヘクト―――いや、桜庭っ!! いいか?この首輪にお前が鎖をつけて俺を自由にしろっ!!」
「くっ…鎖…?」
訳のわからない展開に完全においてかれる中、ヨシュアと南師との攻防は続いていた。
攻防というよりは、完全に南師が押されてるが…。
そのまま二人の攻防が続くものだと思っていた――――が、
「コンポーザー様っ!!こんなところにいらしたのですかっ!!!」
「見つけましたよ、南師さん」
「猩チャン、見いーつけタッ!! もう逃げられナイゾ!!」
「いっけー♪狩谷ー!!」
何かたくさん来たぁぁぁぁぁぁ
顔見知りの死神たちが揃いにそろって、俺の背後に隠れる南師に迫る。
南師に迫るということはつまり、俺が迫られていることに等しく…。
南師、つまりは他人事じゃない
これは、俺の身の安全にも関わることだっ!!
この事態を収拾するべく、俺は必死に考えた―――。
【side:南師】
「フフフッ……もう逃げられないよ?猩君♪」
コンポーザーだけでなく、メグミちゃんや虚西サン、狩谷たちまで出てきて、いよいよ俺も追い詰められた。
詰め寄られて、いつのまにかヘクトパスカルと離れてしまい…俺もついに限界なのか…?
嫌だ。
こんな奴らに捕まって好き勝手にされてたまるものかっ!!(特に3名)
カシャン
「えっ……」
俺の首に鎖が付けられた。
一体誰が―――――――っ!!
「…ったく、結局俺がでることになるんだなぁ……」
「羽狛さんっ!! 何でここにっ!! というか…なんでネク君と一緒にいるの」
「お前らが下らないことしてるから、羽狛さんに助っ人に来てもらったんだよ」
どこかへ消えていたヘクト―――桜庭。
そいつと一緒にいるのは、あの堕天使、羽狛。
呆れた顔をして右手にもつ鎖の先には……俺の首輪。
「なっ!!!! てっ……テメェがつけたのか…その鎖…」
「まぁ…このまま放置してたら完全に仕事がストップしかねないし、なりよりネクからのSOSが携帯できたからなぁ」
何の為に桜庭に頼み込んだんだ。
こいつなら他の奴らみたいな変な欲がなく即効で外してくれると思ったからこそ頼みこんだのに……っ!!!
これじゃあ変わんねぇじゃねーかっ!!!!
「羽狛さん。早く外さないと」
「……はいはい。お前がいうなら仕方が無いな…」
カシャン
あれほど苦しめていた首輪が俺から外された。
こいつ……あっさりと外しやがった…!?
「さっ、これでこの話は終いだ。とっとと持ち場に戻りやがれ――――特にあなたは」
コンポーザーに指をさし、かなり強調して一言言い放った。
さっきまであれほど俺のリアクションを楽しんでいたコンポーザーも、不服な顔をしながらもメグミちゃんに連れて行かれた。
終わった……やっと終わった。
「それじゃあ、ビイトたちと待ち合わせしているから俺はここで。助けてくれてありがとうございました、羽狛さん」
「おっ、そうか。あとのことは“俺に”ませておけ♪」
……ん?
何が嫌な予感が…。
「さて、南師。俺は言ったよな?――――――助けたらヤらせろって」
みなみもとのめのまえがまっくらになった!!
そんな字幕が頭のなかを駆け巡った。
こうして、俺の1日は幕を閉じた。
一体、どこで間違えたんだ。
----------
あとがき
長 か っ た っ !!!
オチ決まってたけど、途中が大変だった!!
えー元々は「総受な南師の話を書きたいな」と「ギャグを書いてない」と思って書いたもの。
それに乗っかっていろんなカプを書きたいなと思いつつもあまりカプ的要素はなかったな……と。
まぁまぁ指定なく見れるものができたかなぁ…?と思いマス。
というか、獣耳とか総受けの単語掲げている時点で、カプ要素がどうとかって言ってる場合じゃないって。